文系営業.com

「文系だからプログラミングはできない」という思い込みが、ようやく外れた話

営業も模型も、やっていたのは「言語化してから実装する」という同じ手続きでした。実装側の言語が日本語に置き換わった瞬間に、何が起きたのかの記録です。

ものづくりが好きらしい、ということ

最近になって、自分でもはっきり自覚したことがあります。

私は「ものづくり」が好きなんだと思います。

営業としてのキャリアは、ほぼメーカー側で積んできました。自社の技術や製品を、お客様の困りごとに合わせて形にして提案する仕事です。趣味では模型を作っています。エアブラシで塗装をして、完成したものを自分で撮影し、作品としてSNSに公開しています。

一見するとバラバラですが、やっていることは実は同じです。頭の中にある「こうなったらいいな」を、手を動かして外に出す。それだけです。

唯一、手が出せなかった領域

ただ、その「ものづくり」の中で、ずっと一つだけ手が出せない領域がありました。プログラミングです。

理由は単純で、「自分は文系だから」。

これは本当に長いこと、疑いもしない前提として自分の中にありました。コードを書く人たちは自分とは別の種族で、そこには才能とか適性とか、越えられない線があるのだと思っていました。仕事でエンジニアと話す機会は何度もありましたが、それは「翻訳して伝える側」であって、「作る側」に立つことは一度も考えたことがありませんでした。

その前提が、ここ数週間で崩れました。

きっかけは「バイブコーディング」という聞き慣れない言葉

正直に言うと、私はこの言葉を最近まで知りませんでした。

ざっくり言えば、AIと対話しながらアプリやサイトを作っていく進め方のことです。自分でコードを一行ずつ書くのではなく、「こういうものが作りたい」と日本語で伝えて、出てきたものを確認し、直してもらい、また確認する。その繰り返しです。

半信半疑で始めました。そして、実際にこのサイトが立ち上がりました。

ドメインは何年も前に取ったきり放置していたものです。サーバーの設定も、DNSのレコードも、デプロイという言葉の意味も、始めた時点では何ひとつ分かっていませんでした。それでも、公開まで辿り着きました。

技術的にすごいことをした自覚はまったくありません。ただ、「自分には無理だ」と思っていた領域に、実際に足を踏み入れてしまった。その事実だけが残りました。

気づいたのは、やっていることが今までと同じだったこと

作りながら、途中でふと気づいたことがあります。

これ、営業でやっていることと同じだ、と。

お客様の「なんとなく困っている」を聞き取って、要件に翻訳して、形にしていく。模型で言えば、「こういう質感にしたい」というイメージを、塗料の選定と希釈率とエアブラシの圧に落としていく。写真なら、頭の中の画をストロボの位置と光量に落としていく。

やっていることは全部、言語化してから実装する、という同じ手続きでした。

私がプログラミングだけできなかったのは、実装側の言語がコードだったからです。そこが日本語に置き換わった瞬間、手続き自体は今まで通りになった。できなかったのではなくて、翻訳機がなかっただけだったのだと思います。

そう考えると、文系か理系かという区分けは、少なくともこの入口においてはあまり意味がありませんでした。むしろ「相手の言っていることを要件に落とす」訓練を仕事でずっとやってきたことのほうが、この作り方とは相性が良かったくらいです。

次に作りたいもの

いま構想しているものがあります。

模型のパーツをカメラで撮影すると、その色に近い塗料を、自分の手持ちの中から何本か提示してくれるアプリです。まずは種類が多くて悩ましいゴールド系から試そうと思っています。

これは、技術的に高度だから思いついたわけではありません。逆です。自分がゴールドの塗料を何本も並べて、毎回「どれが近いんだろう」と悩んでいるから思いつきました。

たぶん、ここが一番大事なところなのだと思います。作れるかどうかより、作るべきものを知っているかどうか。そして後者は、その世界に実際に手を突っ込んでいる人にしか分かりません。

この高揚感は、たぶん今しか書けない

正直なところ、この先に壁があることは想像がついています。

おそらく次に来るのは「書けない」ではなく、「なぜ動いているのか分からない」のほうです。動いていたものが急に壊れて、AIに直してもらっても直らない。そういう場面は必ず来ると思います。そのときに「やっぱり文系だから」に戻らないよう、動いたものは一度は自分の言葉で説明できるようにしておこう、と今は考えています。

それでも、今はとにかくワクワクしています。

何十年も自分に貼っていたラベルが一枚剥がれる感覚は、そう何度も味わえるものではありません。初心者が初心者でいられる期間は短いので、この状態の記録はここに残しておこうと思います。

このサイトは、その記録の置き場です。同じように「文系だから」と思い込んでいる方がいたら、たぶん、思っているより入口は低いところにあります。